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北村は華をお姫様抱っこで棗の部屋のベッドまで運ぶ。
自分が華を運ぶと、さっきまで華を放さなかった棗は北村の後ろをふて腐れながら着いて行く。
「坊ちゃん…いつまでもそんな顔で私を見ないで下さい。
坊ちゃんの気持ちは分かりますが、幾らなんでも華様を抱き抱えるには坊ちゃんの体は小さ過ぎます」
華をベッドに降ろして毛布を掛けると、北村は膨れた棗の頬をつついた。
「うるさい!……毎日欠かさず牛乳を飲んでるんだ。僕だってその内…その内北村なんか見下ろせるぐらい大きくなるんだからな!!」
華が起きてたさっきまでの冷静さは何処へやら。
北村に人差し指を突き付けて騒ぐ棗はとても子供らしかった。
「それより坊ちゃん、これから華様をどうするおつもりです?」
「僕は…側にいてほしいだけだ」
「はぁ…華様が居られた村には私から連絡を入れましょう。
騒ぎになられては、坊ちゃんも困るでしょう?」
「………頼む」
北村は一礼すると部屋を出て行った。
眠る華の横で、さっきからベルが棗を警戒している。
「華の番犬か? 頼もしいな。僕が華に変な事をしないか、十分に見張っておいて…」
棗はそう言うと、部屋の電気を消して扉の外へ消えた。
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