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「華が居た村にはちゃんと連絡した。だからもう少しだけここにいてほしい…」
上半身を起こした華は、どうして棗がそこまで自分に執着するのかと考えていた。
棗は華を知っていると言った。けれど華は今日まで棗の存在を知らなかった。
矛盾するお互いの存在に、華は混乱するばかりだった。
それと同時に、悲しそうにする棗の為に棗との記憶を思い出そうと決意するのだった。
あの家は祖母ちゃんとの思い出がたくさん詰まった大切な家だ…
帰りたいけれど、このままじゃいけないと、華は棗を見つめた。
「少しだけなら…」
華の小さな呟きを、棗は聞き逃さなかった。
俯き気味だった頭を上に上げると、華が少し微笑んでいた。
それは華がここへ来て、初めて見せた笑顔だった。
「笑った…」
「え?」
「やっと笑ってくれた…」
「私…笑ってなかった?」
華はそう言って自分の頬に手を当てた。
「僕は華の笑顔が大好きだ!!だからもっと笑って?華…」
嬉しそうに笑った棗は、華の長い髪の毛を掬ってキスを落とす。
マセガキ……///
華は真っ赤になって俯いた。
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