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「ベル!?」
華は鍬と野菜の詰まった籠を地面に置くと、大根だけを持って車を避けて家の前を覗いた。
「ベル、どうし…!?」
華の目の前にはサングラスを掛け、スーツを着た大柄な男性に押さえ付けられたベルがいた。
「な、なにするのよ!! 止めて!! ベル…!!」
華はベルに駆け寄り、ベルを苦しめる手を払い除けると、ベルを抱えて立ち上がった。
同時にその男も立上がり、華を見下ろしている。
震えるベルを抱き締め、華も負けじと睨み付ける。
「やっと帰ってきたか…」
声が聞こえた。
小さな子供のような…高くて、幼い声…
「その犬はなんだ!!
僕が来た途端、吠え出して…耳が痛くなってしまったぞ!!」
確かに声は華の前から聞こえた。
けれど華の前にいるのは、大柄で怖い顔したサングラス男だけ…
そんな外見の割に可愛らしい声を出す男に、華は不審に思いながらも口を開いた。
「そ、それだけで何も押さえ付けなくてもいいんじゃないですか!?
ベル……こんなに震えて……酷いです!! それに、私の家に何の用ですか!?」
華は大根を目の前の男に突き付けて怒鳴った
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