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ベルと同様、華も滅多な事がない限り、怒鳴ったりはしない。
大根を突き付けられた男は、一瞬怯む様な素振りをすると、下を見た。
「おい!!」
男は顔を上げた。
「な、なんですか!?」
華は大根を突き付けたまま警戒する。
次の瞬間、視界の下の方で黒い何かが揺れた
「おい、何処を見ている!!」
「へ?」
「…くそっ、下だ下!!」
下…?
華は言われた通りに目線を下に下げた
「え……誰?」
「Σな! さっきまでお前と喋っていただろう!!」
悔しがる様に右手の拳をふるふると震わせる少年が、華と大柄サングラス男の間にいた。
さっき視界の下で揺れたのは、少年の黒髪だったのだ。
華の胸ぐらいの身長で、今まで見えなかったのだろう。
少しつり目の大きな瞳が華を見上げていた。
「その大根を降ろせ。さっきから僕の頭に当たってるんだ!」
なんか生意気…
黙ってたら可愛らしいのに…
そんな事を思いながら大根を降ろすと、少年は頭をサッと払った。
「倉木華…」
「は…?」
少年は華の名前を呼び、人差し指を突き付けると、とんでもない事を言い出した
「今日からお前は僕の花嫁だ」
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