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けれど華の記憶には棗という少年はいなかった。
「ごめんね…」
華は謝る事しか出来なかった。
「……っ…そっか、分かった。
しょうがない………北村!!」
下を向いていた棗が家の外にいる北村を呼んだ
すると、了解しました。という北村の返事が聞こえ、家の中に北村を含め、その他にも北村と似たような服装をした男性が入って来た。
「え…なに!?……っきゃぁぁあ!!!」
北村に持ち上げられた華は、盛大に驚く。
「おい、乱暴にするな!!」
さっきの泣きそうな表情は何処へやら。
棗は一言そう言うと、スタスタと外へ出て行った。
華を抱えた北村も、棗の後ろに着いて行く。
「お、降ろして!!降ろして下さい!!」
暴れる華を無視して、北村は歩き続ける。
「華ちゃん!!」
「華ちゃん、何があったんだぁ?」
家の外にいた村のみんなは、華の今の状態に目を丸くしていた。
抵抗虚しく、華はついさっき見た大きな車に押し込められた。
「痛っ…」
「北村! 乱暴にするなと言っただろう!!」
乗せられた車には棗がいた。
華を庇うように腕を掴むと、北村を睨む。
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