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人がいた。
まだ向こうはこっちに気付いていない為、見えるのは後ろ姿だ。窓際に座って何かを書いている。
「川村君……?」
特に驚いた様子もなく彼は振り向いた。
「あ、富永さん」
先生以外の人に苗字で呼ばれるのは久し振りだったので、妙に違和感があった。
「なにやってんの?」
「日誌書いてる。北岡さんが忘れて先帰っちゃったみたいだから」
アケミのやつ、日直の仕事をサボって私らとだべってたのか。
「富永さんはどうして教室に?」
「いや……その……忘れものを取りに……」
本当の事を言ってるだけなのにやけにどもってしまった。なぜかアケミのサボリに対して一緒になってだべってた私が罪悪感を感じていたからだと思う。
私は自分の机の上に置いてあった化粧ポーチをカバンに入れて、帰ろうとしたが思いとどまった。
「あのさ……」
「ん?」
「日誌書くの手伝おうか……?」
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