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「孝太、私と付き合って」
しまった、『好き』って言葉がぬかってんじゃんバカ。告るのってこんな心臓バクバクするのか。
私を形成する臓器の一つが、死ぬんじゃないかと思うほど速いリズムを刻んでいた。今さら言い直すのはダサすぎる。
私は孝太が口を開くのを待った。待ったと言っても実際は3秒くらいの間だったけれど……。
「1時限目サボろうか」
「はっ?」
口をぽかんと開けたまぬけな私の右腕を孝太はためらいもなく掴み、今来た道を引き返し、川沿いの道へと黙って歩いた。
腕をつかまれてついて行くしかない私は混乱していた。
なにかまずかったんだろうか。孝太の背中かしか見えないため、何を考えているのか分からず不安になった。
「孝太、どこまで行くつもり?」
こらえきれず声をかけると、ようやく孝太が立ち止まった。
「……座ろうか」
私たちは並んで川べりに座った。私は不安で息が詰まりそうになる。早く返事を聞かせてほしい。
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