第一章 覚と薬師

6/22

15人が本棚に入れています
本棚に追加
/40ページ
 隼人は、リュックサックの中から小さな薬袋を取り出した。 「これを飲むといい。少しは体調が良くなると思うから」  少女は怪訝な顔をした。 「別に怪しい薬じゃない。ただの風邪薬だ。」  隼人は袋の中から、緑色の粉を少量すくい、それを口に含む。苦い。そしてそれをお茶で流し込む。  な? 毒なんて入ってないだろ? 「怪しい者じゃない。俺は薬師だ」  少女はしばらく隼人の顔をじっと見つめていた。 「薬師さんでしたか」  そう言うと、袋を受け取り、薬を飲んでくれた。どうやら信じてくれたらしい。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

15人が本棚に入れています
本棚に追加