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しばらく吹いて、低いミまで出せるようになったころ、あけみちゃんのお母さんが
「朱美!ごはんよ!」
とあけみちゃんを呼んだ。
「はーい!」
あけみちゃんはわたしをふくろにしまって、ランくんの中に入れてから、ごはんを食べにいく。
「ランくんランくん」
「どうしたの?」
「どうしてごはんのあとは、わたしをふいちゃだめなの?」
「うーん……」
ランくんはからだを揺らせて考えてくれたけど、わからないらしい。
「人間の世界は難しいんだよ」
としか答えてくれなかった。
「キャラさん」
「わかんないよ!」
む。先を越された。
「人間の世界では、ボクは使い捨てだからね。本当は一生使ってほしいのに。ボクのこともわからないのに、リーさんのことがわかるわけないでしょ?」
一理ある。
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