【7】サプライズ

2/2
122人が本棚に入れています
本棚に追加
/19ページ
幹事のサプライズに、みんなはざわめき立っていた。 秀樹が、袋を隣の部屋に置きに行く。 ガイドの中山も席を立った。 『トイレですか?』 またきかなくてもいいことをきいてしまった。 『いえ、隣で女性達のお手伝いをしてきます。』 そういって、戻ってきた秀樹が開けた襖の隙間をすり抜けて行った。 『どうだ、武志。いい考えだろ?』 『全く、お前ってやつは。だから幹事なんて名乗りを上げたんだな。おかしいと思ったよ。』 『まぁ、そう言うな。オレなんか、式の日に残ったボタンは一個だけだったからな。誰が持って行ったかはよく覚えてないが・・・まぁいいや。武なんか、一番人気だったから、今日は大変だな。幸運を祈るぜ。』 一番いて欲しい人は、ここにはいない。 『しかし、中学だぜ、そんなもの未だに持っているものかな?』 『相変わらず、女心が分かってねぇな。』 (お前に言われたくはない。) 『女ってもんはな、ああいうものを、大切に取っておくもんなんだよ。それが証拠に、こうして集まっているんじゃねぇか。』 それは事実であった。 実のところ、彼女達も三十路が見えている。 中には、これを目的に来た女性も少なくはなかった。 こうして、会場を後にした一同は、一路、中学校へと向かったのである。
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!