おねいさん

2/36
前へ
/38ページ
次へ
「……紀理、ごめん」   オレは、絵里香姉ちゃんの手を握った。   絵里香姉ちゃんと紀理が、目を開ける。   「……そうか。あたしを選んだか」   絵里香姉ちゃんは、どことなく寂しそうに、儚げに笑った。   「……私、先に家に戻ってるね」   返事を待たず、紀理は部屋を出ていった。 そして、玄関の開け閉めの音。   「……絵里香姉ちゃん」   「なんだ」   「今まで通りには、ならないのかな……? 戻れないのかな……?」   「……後悔の言葉は、今日だけにしておくんだ」   そう言って、絵里香姉ちゃんは、オレを優しく抱きしめてくれた。
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!

638人が本棚に入れています
本棚に追加