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「……紀理、ごめん」
オレは、絵里香姉ちゃんの手を握った。
絵里香姉ちゃんと紀理が、目を開ける。
「……そうか。あたしを選んだか」
絵里香姉ちゃんは、どことなく寂しそうに、儚げに笑った。
「……私、先に家に戻ってるね」
返事を待たず、紀理は部屋を出ていった。
そして、玄関の開け閉めの音。
「……絵里香姉ちゃん」
「なんだ」
「今まで通りには、ならないのかな……? 戻れないのかな……?」
「……後悔の言葉は、今日だけにしておくんだ」
そう言って、絵里香姉ちゃんは、オレを優しく抱きしめてくれた。
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