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「先生」
「なんだね、ルーク?」
「さすがに、これは掃除したほうがいいと思うんですよ」
ルークは呆れたように指摘した。レイトンは顎に手を当てる。
「そうかな。私はこれくらいで丁度良いと思うんだが」
「どこがですか!」
たまりかねて叫ぶ。
片付けが出来ない人はたいてい次の言葉のどちらかを口にする。
片付き過ぎていると落ち着かない。あるいは、どこに何があるか解っているから差し支えない──。
レイトンは間違いなく後者のタイプである。
しかし、レイトンに傾倒しているルークとしては、もう少しキレイにしていてほしいのだ。
壁という壁は棚で埋め尽くされていた。棚に入らなかったのか、それとも出しっぱなしなのか解らない、石で出来たアクセサリーや価値のありそうな宝石、一見呪われていそうな木製のお面や得体の知れない物体が床に並べられている。
棚の前に棚を置くという暴挙もかなり行われていた。
デスクには書類が積み重なり、最も悲惨と思われる本棚は、ジャンルも整理されていない本がぎゅうぎゅうに詰め込まれている有様だ。もちろん、本も溢れている。
唯一キレイだと言えるのは、お客様用のテーブルとソファ、その傍にある「紅茶専用棚」くらいだ。
替えの帽子がきちんと整えられて置いてあるのは、らしいと言えばらしいのだが…。
ルークも、そうそう大学を訪ねるわけではない。レイトンの自宅には平日休日関係なく来てはいるが、大学の講義で留守にしているときに、暇を持て余して掃除することはよくある。
だから、レイトンが掃除を苦手としていることに、なかなか気付かなかったのだ。
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