疑い

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また今日も拝みにいった。 「…なぁ…。 私は僧侶だが…。 仏様が汚れるから拝むな。」 「…嘘だ…。 僧侶は差別しちゃいけないはずだ…。」 「偽善事を…。」 僧侶も、当時はえたは差別してきた。 当時、身分にうるさく、えたは死体の扱いなど、まるで人のように扱われなかった…。(史実です) その子はえたの子…。 しかし仏様を信じて生きていたからこそ…今まで生きてこれた…。 だが… 僧侶は仏様に携わるものとして、差別しないものと思っていた。 「…嫌だ。」 「…仕方ない…。」 そう言って僧侶は、斧を持ってきた。 その子は少しでも仏様に助けていただきたいため、左手を名一杯のばした。 「…どうか…お助けを…。」 泣きながら祈った。 僧侶は斧を振り上げ、左手を切断した……。 「……ぎゃぁぁぁっ!!」 「さっさと失せやがれ!」 その子は、仏様を恨んだ。 後に、「地獄の子」と名付けられた。 その子は、自分で名前を考えた。 その名は…殺狼(さつろう)…。 山に閉じこもり、烏と、蝙蝠たちと生活している。 つまりその子は、一匹狼なのだ…。 成人男性をも軽々とねじ伏せる、「殺狼」なのだ。 刀を持っていても彼女には勝てない。
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