疑い

4/6
前へ
/44ページ
次へ
彼女は仏様を疑った…。 ――…なぜ助けてくれない…――? あれだけ祈った… なのに… なのに…!! 少しも助けてくれなかった…!! えたと呼んだ者を殺すのは構わない。 だがそんなのではただの腐った「人」になってしまう。 あの僧侶のように…。 山小屋の中に、一人静かに考えた。 とんとん…… 「…僕を知ってきているのか…?」 「…はい…。」 「…そうか…。 お前、名を名乗れ。」 「…月夜。」 「…良い名だ。 …入れ。」 「…失礼します…。」 「…にしてもよく来たな。 こんな山奥に。」 こくんとうなずいただけだ…。 「如何した?」 「…噂で、仏と話したえたの女がいると聞いて…。」 仏と聞いた瞬間、殺狼は表情を変えた。 「…聞きにくいが…お前もえたか…?」 「…いえ…。」 「…そうか。 いいのか…? 僕と話していて。」 「いいんです。 普通の人と話すより、あなたと話しているほうが、楽しいから。」 「…そうか…。 嬉しいことだ。」
/44ページ

最初のコメントを投稿しよう!

24人が本棚に入れています
本棚に追加