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生きる
「はい。私はあなた様を信じています。」
「それと決して仏様を傷つけてはならぬ。
僕はこうやって、利き腕を切られたが、これは人がしたことだ。
さっき僕が言ったこととは違うが…。
仏様は、悲しい目で謝られた。」
「…はい。」
「……月夜…。勘だが…お主男か…?」
一見普通の女子に見える月夜に聞いた。
「…さすが仏様。よくお気づきで。」
しばらくの沈黙……。
「……お主…。それで差別を…?」
「…はい。
みんなから、おかま扱いされました。
ですが私は、「私」というのも直したくないし、いくら髪を短くしても、男のようにならないから…。」
「…僕は男と女、どちらだと思う?」
雪蛍が聞いてみた。
雪蛍は外に出ていないからか、肌は雪のように白く、汚れの無いような、まるで30と思えない顔だ。
男にも見えるが、女にも見える。
そんな感じだ。
「…えっと…。
男…ですか?
力強いし、誰もかなわないから。」
雪蛍は目を丸くし、大声で笑った。
「…僕は女だ。[僕]というのは、昔から抜けないからな。」
「……ええっ!!?」
こちらも目を丸くした。
「…なんか、性が逆になった感じだな…。」
雪蛍は男ぽくて、月夜は女ぽい。
今度は二人で笑った。
これが…
仏様が授けた、「運命の人」だとも知らないで…。
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