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目が眩んだ大男は、落ちてくる少女を迎え撃つのを諦め、トンファーを顔の前で構え崩御体制を取った。
「ど~ん!」
少女は落ちる勢いに、さらに自分の身体の回転を加えて威力の増した裏拳を振り抜いた。
「ぐふっ……!」
少女の放った裏拳は大男の防御をものともせず、大男の脳を揺さぶった。
焦点が定まらなくなった大男の目の前に、少女は音もなく降り立った。
「せえぇのぉ~……よいしょっ!」
少女は大げさに振りかぶると、大男の頬に向けて裏拳を振り抜いた。
大男は空中をきりもみしながら数メートル飛んで、倒れた。
「クリーンヒットォ!」
少女は前髪をかき上げ、嬉しそうに笑った。
非常に整った顔つきに、パッチリとした深い赤色の眼が印象的な美少女だった。
「ぐっ……ぐはっ」
大男は最後の力を振り絞り立ち上がろうとしたが、そのまま崩れ落ちた。
「……ニヒッ」
少女は満面の笑みを浮かべると、大きく右腕を突き上げた。
それと同時に観衆から大きな歓声が上がった。
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