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誰もいない。
オレ以外誰もいない。こんな事をしてるのは。
始めは、そんなだった。何がどうなって、こうなったか?覚えていない。だけど今現時点でこの状態だ。
振り返るのは、嫌いだ。前がどんなだったか?思い出すのも嫌いだ。
笑っていこう。いつもそう自分に言い聞かせる。
つまらない。すぐに来るその言葉。いい加減にしてくれ。
何度悩んだ事か。腹の底で、ストレスがうごめいてる。
叫びたくなる。
「はぁ~」
こいつ、ため息つきやがった。なんだ、オレが悪いのか?
相変わらずナメた奴だ。
よし、ちょっと休憩。
目を閉じ、呼吸を整え、幸せな気分を味わう。こいつのやってるやり方を真似ているのだけど、少し違うらしい。それが、オレには、許せない。なんで、オレの思い通りにならないんだ。お前は、なんでそんな自分勝手に生きる?少しは気にしろよ。オレの事も。あ~イライラしてきた。目を閉じよう。
気分の良い時間なんて、数秒しかない。なぜ?こいつが動くから。オレのペースでゆっくりもできない。
なんだトイレか。
(ジョボジョボ…)
他人の小便の音を聞くのも慣れてきた。最初は、気持ち悪くて、吐きそうになってだけど、今は、子守唄のようだ。
しかし、汚い部屋だ。こいつの部屋に遊びに来る奴は、気にしないらしいが、オレは許せないな。掃除も滅多にしないし、洗濯物もたまってる。CDも乱雑に置かれて、コンビニのビニールも3つ、4つ。何度オレが、片付けさせようとしても、面倒くさがってやらない。こんな奴がなんでオレより、頑張ろうとしてるのか?おい、お前、お前はオレより下なんだぞ。オレの方が出来るんだぞ。
外の車の音が、他の人間の存在をアピールするかのように走る。それだけで、こいつより、上だと背中を押されているように思える。
やっぱりそうだろ。こいつは、ただの馬鹿だ。笑いが込み上げてきた。
「はぁ~」
また、ため息かよ。なんなんだこいつ。
外は、雨が降ったり、やんだり。オレとこいつみたいだ。
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