『正義』

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しばらくして、あまりの盛り上がりに、ゼルは目を覚ました。 「うるさいな…」 ゼルはユラユラと扉を開けた。 「おぉぉ!ゼル!目を覚ましたか!プハー」 ブレイズがグラスを空にした。 「このサイファ様がひん死のゼルを拾って、手当てまでしてここまで運んでくれたのよ!キャァアー!サイファ様~!ステキ!」 ファムは完全に目がハートになっていた。 「ゼル!座れ!座れ!」 クラストがイスをひいて、ゼルの座り場所を作った。 「おいおい…。ひん死からの病み上がりの人間に酒を進めるな…」 ゼルはユラユラとイスに座った。 ソニックは何も言わず、ゼルのグラスに酒を注いだ。 「さっ…ここからは…真剣な話しだ…」 とソニックが一気にグラスの酒を飲み干した。 「あぁ…何から話せば良いものか…」 ゼルの演説が始った。 ゼルはブレイズたちにガルーダカンパニーの悪業を納めた写真を中央評議会へ届ける役目を請負って、旅立った後… 、 最悪の事態が待っていた。 中央評議会へ写真を届けた後、何も連絡もなかったので、シビレを切らしたゼルは評議会へ申し立てた。 だが、評議会の返答は事態を確認したが、事実無根の話、ふざけた言い掛かりだと、まるで話しにならんと門前払いされたようだった。 ゼルは取乱し、強く事実を訴えたが、まったく相手にしてもらえなかった。 そして、評議会の奥からガルーダカンパニーの若き社長、デューク・サージェンスが評議会の最高委員会の連中と一緒に出てきた。 それを見たゼルはすべてを悟った。 惑星Ziを統治する国の政府機関でさえも、ガルーダカンパニーの支配下にあったと言う事…。 ゼルは愕然とした。 自分が憧れ正しき道を行く国の機関さえも悪しき力の前には屈してしまう事…。 ゼルは中央評議会へ潜入し、ブレイズから受け取った証拠を命がけで奪い、逃走した。 そしてなんとか傷つきながらも追っての手を逃れたが、ついに力つきた…。 数日後、偶然にも通りかかったサイファに拾われた。 そして、ひん死だったゼルは何かに取り付かれたように、ブレイズにこの証拠の届けるようにサイファの襟元を握り強く言った。 そして、すべての力を使い果たしたゼルは気を失った。
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