その反転に、爪を立てるもの

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 自身の嫌いなことの一つに、女性に間違われるというのがある。  往々にして僕が悪いのだが、如何せん性別を間違えるのは人として最悪である。本質ではなく、外面だけで簡単に人を値踏みする風潮が悪いのだがそれを批判することは僕には出来ないし、長い髪をめんどくさがって切らなかった僕が悪いのだろう。髪質が女性的だったのは仕方ないし、顔立ちが女性的なのは否めないが、男性に女性程胸はないだろうに。  しかし、人間嫌えば嫌う程それに近づくとは誰も思うまい。  噂をすれば影が差すではないが、数日経った今でもまだ上手く慣れない。  そう、椿原結(つばきはらゆいと言う、名前まで女みたいなのは生まれたときからの伏線だったのかもしれない)こと僕は、ゴールデンウィーク中に女性になってしまったのだ。 「…………」
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