その反転に、爪を立てるもの

3/53
前へ
/77ページ
次へ
 女性になってから数度に渡る自己確認を行う。  考えるだけで鬱になるのだが、目の前の非現実から逃げていては仕方なく、向き合うしか僕に出来ることはない。  むしろ、逃げていては解決しないのだ。不幸中の幸い、まだ僕には元に戻れる可能性を孕んでいる(らしい)のだ。 「……いや、だからって」  女性になったからって、白聖姫小百合(はくせいひめさゆり)女学園に編入する意味が全く理解出来ないでいる。  ちなみに今日が編入初日で、すでに高校二年生になって一ヶ月と少し経っていることを考慮すればすごく不自然なタイミングになる。なので、女生徒から奇異な視線をたっぷりと送られてしまった僕の心は帰りたい気持ち一色に染め上げられてしまっていたりする。無論、足先から頭のてっぺんまで。
/77ページ

最初のコメントを投稿しよう!

402人が本棚に入れています
本棚に追加