親密

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ただいま。と小さく呟く。まるで孤独を紛らすように。 洋一には兄と姉、がいるが共に逃げるように結婚をして家を出た。親は離婚をし家には父がいるが現金が置いてある以外に存在を確かめる術はない。 未成年の独りをいい事に毎日馬鹿な詐欺野郎達からハガキや訪問があって苛立っているが、今日はそんなものは気にならなかった。 洋一は、夢中になって身近な個人を主張するローマ字と数字の文字並びを携帯と言う離れてもあの人を側に感じる機械に打ち込んでいく。 【洋一です。家着いたよ。彩ちゃんも気をつけて返ってね☆】~送信~ いつもはない優しい気持ちで胸を踊らせながら晩飯を作り始めた。 出来上がった頃、彩から返信メールがきた。 【遅くなってごめんね。帰ってご飯食べてました。明日どうする?】 その後メールを重ね、待ち合わせ場所、時間を決めた。何するかは洋一が内緒と言ってその日は休む事になった。 早く寝たからか、明日が楽しみでかはわからないがいつもより長い時間眠れずにいたが、なんだか不思議と心地よかった。
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