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駐車場に車を停めると。
「着いたね♪」
「送っていただきありがとうございました。…それで、もうちょっと話したいな♪」
「いいよ。明日休みだしね。」
「…なんか先生って先生っぽくないね♪」
「そうかなぁ?この学校くる前にも2年間教師してるんだけどなぁ」
「何か友達みたい。あっ思ってるの俺だけだと思うけど」
「友達みたいかぁ、君は私から見てもそんな感じかもなぁ。君は不思議な感じがする」
「それは変わりもんって事やろぉ?」
わざと皮肉って答えると。
「なんて言うのかな、生徒とは見れない感じ?」
「そっか。…先生、いや彩ちゃん、ギュッってしていいかな?家帰ってもいつも一人なんだよね。飯も一人。」
何故こんな事言ったのかわからない。だだわかっているのは、そんなのただのわがままだ。弱音なんてはいたことなかったのに。
少し俯いてそんな事を思ってると。
「おいで」
「えっ?」
驚いた。だけど急に涙が出そうになり隠すように彩の胸に飛び込んだ。
10年ぶりくらいに感じた人の優しい温もりに涙を隠すことも忘れ声を押し殺して…泣いた。
車内には二人の温もりと一人の押し殺した啜り泣く音が響いた。
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