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「洋一君、落ちついた?」
そっと声をかけてくれた。
「グスッ…ごめん、ありがとう……今日、帰るよ。先生のおかげで元気出てきた!それで、明日会えない?」
「うん、いいよ。ちょっと待ってて。」
そう言ってバックから紙とペンと取り出して何かを書き始めた。
「はい、これ私のアドレス。明日の予定決めなきゃいけないしね」
「うわぁ何か恥ずかしか」
何故かローマ字と数字の文字並びが嬉しくて眺める。
「返ったらすぐ送るよ!…あっ彩ちゃんこっち向いて」
「えっ」
彩は一瞬何が起きたかわからなかった。
そんな表情をする。
「キスしちゃった。…怒った?えっ」
次は洋一が何が起きたかわからなかった。
「仕返し♪」
おどけた表情で彩はそう言った。
「されちゃった…」
初めは洋一からしたにもかかわらず顔が熱くなるほどに赤面した。
そして沈黙が流れる。決して嫌な空気ではなくお互いに唇に残る感触をお互いの唇を見つめ、確かめるような淡い時間。
長いようで短い時間は洋一の言葉で元の空間に戻っていく。
「もう一度、しょう?」
「うん」
二人はもう一度唇を重ねる。先程とは違う、お互いはっきりとした感触を確かめ合うように。
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