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両親が離婚したのは、あたしが小学四年生のとき。
子供とはいえ大体のことは理解出来る年齢には達していたので、家の中の冷めた空気にはとうに気付いていた。
察していたわけじゃなく、二人が子供の前だから……と繕うことをしなかったからだ。
出て行ったのは母親。
あたしが寝ている振りをして身を潜めている間に押された離婚届の判子。
次の日には家を出た母親が紙切れを提出し、二人は終わった。
あたしへの挨拶はない。それはつまり、どちらについていくかの選択権を与えられなかったということ。
現に、離婚するという言葉を直接、両親から聞くことはなかった。
学校から帰ると母の姿は見当たらなくて、代わりにあったのは夜、帰宅した父から聞いた、別れたんだ、という過去形の言葉。
四年生であたしは察した。気付きは確信へと変わった。
この人たちに、あたしは愛されていなかった。
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