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ただ、中学のとき、進路や連絡など必要最低限のことを除けば唯一、よく話をしていた教師がいた。
萱野というその男性教師は担任でも教科担当でもなく、それどころか担当学年も違う。あたしは部活にも入っておらず、顧問というわけでもない。
つまり接点は何もなく、本来ならば知らないまま卒業していただろう。
あたしが萱野先生と知り合ったのは、二年のときから昼休みの度に行っていた屋上だった。
三年になっても入り浸っていたから、他の人にばれなかったことが不思議だった。
何せ屋上は立入禁止。本来鍵は掛けられていなくてはならないのだから。
ばれなかったのは、見回りは放課後のみ、それも鍵が掛かっているのかも確認しない簡単なものだからだと萱野先生が教えてくれた。
それほどまでに杜撰な管理。普通の学校ならとっくに施錠されている。
放課後の見回り時にいても大声を出さない限り大丈夫なのに、昼休みに見付かることはない。
卒業した先輩が壊したであろう扉を偶然発見出来たのは、息苦しさを感じていた学校生活に、酸素を見付けた瞬間でもあった。
普段、使用される頻度が少ない準備室や空教室が並んだ棟。
そこに、鍵の壊された、屋上へと続く扉はあった。
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