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三浦くんは、口元を手で押さえながら明後日の方向を向いて、肩を震わせていた。
…………笑ってる?
「ぶっ……あはははっ…!
む…麦ちゃん…反応遅いし…!!」
恥ずかしいやら、バカにされて悔しいやらで顔がさらに赤くなり、少しだけ目が潤む。
俯いたまま目だけを睨むように三浦くんに向けていた。
「くっくっ……ごめん。
ちょっと笑いす…ぎ……た…」
背けていた顔をあたしの方に向けた三浦くんは、目を見開きあたしを見ると、今度は顔を赤くしてキョロキョロと目を泳がせた。
「三浦くん?」
あたしが声をかけるとビクッと体を揺らし、あたしと目を合わせないようにしながら口を開いた。
「いや…その…麦ちゃんの顔が……」
「麦ー、起きたー?」
三浦くんの言葉を遮るように保健室の扉が開き、真歩ちゃんが入ってきた。
「あ…真歩ちゃん。
…三浦くん…さっきの続きは?」
「いや…何でもない」
いつもと様子の違う三浦くんが気になったが、今まで2人きりだったという事を思い出して、また顔が火照ってきた。
「麦、大丈夫?」
「えっ!?
あぁ、大丈夫だよ!
心配かけてごめんね?」
真歩ちゃんは、あたしに歩み寄ると心配そうに声をかけてきた。
「ううん。
大丈夫ならいい。
あっ、三浦、陸が探してたよ」
「へ?
…あぁ!!
話があるって言われてたんだ!!
さんきゅっ、井川!
麦ちゃん、また後でねっ」
いつもの調子に戻った三浦くんは、バタバタと保健室から出ていった。
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