変身

5/9
前へ
/169ページ
次へ
9時50分。   待ち合わせ場所の駅前に来たんだけど…。     「真歩ちゃーん…。 やっぱ変だよ…帰りたい…」     「ダメよ。 あたしがやってあげたんだから変な訳ないじゃない。 ……三浦の驚く顔が楽しみだわ…」     真歩ちゃんは最後に何か言っていたみたいだけど、小声すぎて聞こえなかった。   それよりも、自分の格好の方が気になってしょうがない。   真歩ちゃんがしてくれた全身コーディネート。   白の半袖ワンピに細身のデニム。   脱ぎ着が出来るように、ワンピの上にはカーディガン。   ペタンコで楽チンだけど可愛いパンプス。   真歩ちゃんはワンピだけにしろって言っていたけど、そこは拒否して、何とかデニム着用を許可してもらった。   そして……メイクをされた。   普段スッピンのあたしは恥ずかしくてしょうがないけど、真歩ちゃんは本当に上手で、目なんていつもの3倍くらい大きい。   でも見慣れないせいで、自分の顔が変な気がする。     「真歩ちゃん…やっぱり…」     「大丈夫よ! 私が可愛いって言ってんだから可愛いのっ」     そう言う真歩ちゃんは、相変わらず大人っぽくて、メイクもばっちりだし…。   あたしは盛大な溜め息をついた。    
/169ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2069人が本棚に入れています
本棚に追加