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｢む､麦ちゃん…｡
いきなり迷子とかやめて…｣
頭の上から渚くんが息をきらして､声をかけてきた｡
どうやら腕を引っ張ったのは渚くんだったらしい｡
｢う"…ごめんね…｣
迷惑をかけてしまった情けなさと､見つけてもらえた嬉しさで涙が溢れそうになった｡
そんなあたしを見た渚くんは慌てだした｡
｢むむむ麦ちゃんっ!?
俺､怒ってないからねっ!?
だから泣かないでよー…｣
あたしのせいで慌てているのに､何だか面白くて笑ってしまった｡
｢人が心配してんのに笑うなよっ｣
｢ごめん……渚くん｡
見つけてくれてありがと｣
あたしは笑いながらお礼を言った｡
渚くんが来てくれた時､ヒーローが現われたかと思ったよ｡
あたしが笑って言うと､渚くんは顔を赤くしながら言った｡
｢り､陸と井川が待ってるから行こっ｣
渚くんに手を引かれて､真歩ちゃん達の所に向かった｡
手を繋ぐなんて恥ずかしいけど､また迷子になったら困るから､顔を赤くしながら渚くんの手を握り返した｡
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