2069人が本棚に入れています
本棚に追加
「麦ちゃん、いきなりどうしたの?
何か張り切ってない?」
「うんっ!
真歩ちゃんの恋の応援してるからっ」
珍しく真歩ちゃんの役に立てたのが嬉しくて、渚くんと2人になった事なんて忘れ去っていた。
「そっか。
ねぇ、麦ちゃん。
あれ入ろうよ」
渚くんはそう言うと、あたしの手を引っ張った。
てて手ぇ繋いでたぁ…!!
ししししかも、あたしから!?
いまさら気付き、顔を赤くしてしまった。
「麦ちゃん、どーしたの?」
俯くあたしの顔を覗き込むように、渚くんは腰を屈めた。
かかか顔…近いからっ!!
あたしは、バッと顔を上げて渚くんに言った。
「ななな何でもないよ!!
………渚くん?
ここって…」
「えっ?
あぁ、お化け屋敷?
入ろうよ」
目の前にそびえ立つのは、渚くんの言う通りお化け屋敷だった。
てか…廃病院じゃんっ…!!
この遊園地のお化け屋敷…てか廃病院は怖いので有名で、泣き叫びながら出てくる人が続出するとか、しないとか……。
「無理無理無理っ!!
あたし…怖いの無理っ!!」
あたしが涙ながらに訴えると、渚くんはニヤリと笑いあたしの手を引っ張って歩きだした。
「大丈夫だってっ!
噂ほど怖くないよ!!」
「渚くんの鬼っ!
悪魔っ!」
渚くん、絶対楽しんでるっ!!
あたしの叫び声が響く中、渚くんはニコニコ笑いながら廃病院へと入っていった。
最初のコメントを投稿しよう!