ピアス

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「麦ちゃん、いきなりどうしたの? 何か張り切ってない?」     「うんっ! 真歩ちゃんの恋の応援してるからっ」     珍しく真歩ちゃんの役に立てたのが嬉しくて、渚くんと2人になった事なんて忘れ去っていた。     「そっか。 ねぇ、麦ちゃん。 あれ入ろうよ」     渚くんはそう言うと、あたしの手を引っ張った。   てて手ぇ繋いでたぁ…!!   ししししかも、あたしから!?   いまさら気付き、顔を赤くしてしまった。     「麦ちゃん、どーしたの?」     俯くあたしの顔を覗き込むように、渚くんは腰を屈めた。   かかか顔…近いからっ!!   あたしは、バッと顔を上げて渚くんに言った。     「ななな何でもないよ!! ………渚くん? ここって…」     「えっ? あぁ、お化け屋敷? 入ろうよ」     目の前にそびえ立つのは、渚くんの言う通りお化け屋敷だった。   てか…廃病院じゃんっ…!!   この遊園地のお化け屋敷…てか廃病院は怖いので有名で、泣き叫びながら出てくる人が続出するとか、しないとか……。     「無理無理無理っ!! あたし…怖いの無理っ!!」     あたしが涙ながらに訴えると、渚くんはニヤリと笑いあたしの手を引っ張って歩きだした。     「大丈夫だってっ! 噂ほど怖くないよ!!」     「渚くんの鬼っ! 悪魔っ!」     渚くん、絶対楽しんでるっ!!   あたしの叫び声が響く中、渚くんはニコニコ笑いながら廃病院へと入っていった。    
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