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受付でナース姿の係員から懐中電灯を受け取り、消毒液の匂いがする無駄にリアルな廃病院へと入っていく。
「な…渚くん…あたし…やっぱ…無理だよ…」
怖すぎて、ガタガタと震えながら渚くんについて歩く。
手はしっかりと握り締めながら。
いつもなら恥ずかしくてたまらないけれど、それどころではなかった。
「麦ちゃん、マジで無理だった?」
「そう言ったじゃん!!
渚くんのバカっ」
「ごめん…」
あたり散らすあたしに、申し訳なさそうに謝る渚くん。
言い過ぎたかな?
…で、でもっ…渚くんが悪いんだもん!!
そんな事を思いながらビクビクと歩いていた。
「ぎゃぁっ!?
いいい今何か音したっ!!」
「麦ちゃん、ただの水の音だよ。
大丈夫だって」
やっぱり無理ぃー!!
必死で涙を堪えていたら、いきなり病室らしき所から血塗れの患者服を着た人が飛び出してきた。
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