好きな人

5/15
前へ
/169ページ
次へ
「み…三浦くん…起きて…」     起きる気配がない。   どうしようかと思っていたら、先生が三浦くんの前に来ていた。     「いってぇ…!!」     先生は持っていた教科書で、三浦くんの頭を叩いた。   しかも角で…。   三浦くんは涙目になりながら、先生に言った。     「人が気持ち良く寝てたのに起こすなんて…! 鬼っ、悪魔っ、暴力教師ぃ!!」     「そうか…お前は授業を受ける気がないんだな。 そんな奴は…留年決定だぁ!!」     三浦くんの言葉を聞きニヤリと笑いながら言い放つ先生。     「そんなの…職権濫用だぁ!! 訴えてやるー!!」     三浦くんが大きな声で言うも、先生は気にする様子もなく、また教科書の角で叩きながら言った。     「勝手にしろ。 で、問題解くのか? 留年するのか?」     「う"……問題解きます」     おずおずと黒板まで行く三浦くんの姿に、クラスのみんなの笑い声が響く。   先生と三浦くんのまるでコントの様なやり取りは、今に始まった事じゃない。   スラスラと問題を解くと三浦くんが席に戻ってきた。   授業中、よく寝てるのに頭いいんだなぁ…。   ホント、羨ましい。    
/169ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2069人が本棚に入れています
本棚に追加