ピアス

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「…っ…無理無理無理ぃー!!」     「あっ…麦ちゃんっ」     有り得ないほどの怖さに、渚くんの手を振りほどき走りだした。   怖い、怖い、怖い…!!   何あの人っ!!   血ぃダラダラだったしっ…!!   しばらく走り回り、ハッと気が付いた。     「…な…渚くん…?」     えっ…いない?   って…あたし置いてきちゃった?   周りからは他の人の叫び声が聞こえるけれど、姿は見当たらない。   どこからオバケが出てくるかも分からないし、自分がどこにいるかも分からない。     「どどどどうしようっ…!? あっ…携帯っ」     電話で助けを呼ぼうとしたけど、よく考えたら渚くんの番号を聞いていない事に気が付いた。   どーしよう…?   真歩ちゃんにかけても仕方ないし…。   てか邪魔したくない…。   なすすべのないあたしは、とうとう涙を流してしまった。     「…っ…ひっく…ぐす……っ…渚くん…」    
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