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「ごめんね…重いのに…」
「大丈夫っ!
麦ちゃん軽いから」
あたしは真っ赤になって俯いた。
安心して腰が抜けたあたしは歩く事も出来なくて、結局、渚くんにお姫様抱っこをされて廃病院を回っていた。
断ったけど歩けないのは事実だし…。
「ねぇ、麦ちゃん?」
「…な…何?」
軽々とあたしを抱き抱える渚くんは、顔はよく見えないけれど少し照れているように感じた。
「後で、携帯教えてくんない?
さっきも電話しようと思ったけど知らなくて捜し回ったし…」
「うん……ごめんね」
あたしは、渚くんに迷惑をかけてしまったのが悪くて、自己嫌悪に陥っていた。
「ううん。
俺も悪かったし…。
まぁ、そんなの口実で、単純に麦ちゃんの番号とか知りたかっただけなんだけどね」
「えっ!?」
そんな事言われたら期待しちゃうよ?
顔を真っ赤にしたあたしは、渚くんにこのドキドキが伝わってしまうんじゃないかと心配になった。
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