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ずいぶん長い間廃病院にいたのか、もう少しで真歩ちゃん達との待ち合わせ時間になる。
しばらく休憩がてら気持ちを落ち着かせていたら、渚くんが口を開いた。
「麦ちゃん。
最後に観覧車乗らない?」
「観覧車?
……うん、いいよっ」
あたし達は観覧車に向かった。
観覧車の前には行列が出来ていて、周りはカップルだらけだった。
何か…気まずい…。
まわりのカップルは、人目を気にせずイチャイチャしていて目のやり場に困る。
「麦ちゃん、俺等もカップルに見えるのかなぁ?
こうやって手も繋いでるし」
そう。
また…手、繋いでます。
まぁ理由は、あたしが迷子にならない為だけど。
あたしは顔を赤くして俯いてしまった。
「俺とカップルに見られんの嫌?」
「いい嫌じゃないっ!
……渚くんこそ嫌じゃないの?」
そうだよ…。
あたしみたいな女とそんな風に見られるなんて嫌に決まってる。
渚くんの周りには、いつも可愛い子がいるんだし…。
そんな事を思っていたら、渚くんは笑顔を見せながら言った。
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