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「なぁ…野上?」
三浦くんが席に戻ってきてから、ずっと視線を感じていた。
そんなに見ないでよ…!
と思っていたら、三浦くんが声をかけてきた。
「な、何…?」
見られている恥ずかしさから顔が真っ赤だったあたしは、三浦くんを見ないまま、呟くように声を出した。
「なんで起こしてくんなかったの?」
「え…」
いきなりの三浦くんの言葉に、思わず顔を上げた。
…っ…目が合ったぁ!!
慌てて視線を逸らし『起こしましたけど?』なんて言えるはずもないあたしは、俯きながら小さく声を出した。
「あ……ごめんなさい…」
何も悪い事はしていないが、反射的に謝ってしまった。
うぅ…どうしよう…。
あたしは三浦くんが怒っていると思い、少し泣きそうになった。
すると、頭に大きな何かが乗っかった。
「嘘だよ。
どうせ起こしてくれたのに、俺が起きなかっただけだろ?」
「へ…?」
予想外の言葉と、頭の感触を不思議に思い顔を上げると、目の前には三浦くんの笑顔があった。
頭の上には三浦くんの手。
「ごめん。
からかった」
「え……あ…」
あたしの頭をポンポンしながら謝る三浦くんに顔が赤くなる。
ヤバい。
心臓…爆発するかも…。
そんな事を思っていると、黒板の前にいる先生の大きな声が聞こえた。
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