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水曜日生まれの男がいつものように僕の家でちくわを食べていた時に、真剣な表情で呟いた。
「そろそろ僕にも名前が欲しい」
「名前なんてあるじゃないか?」と僕は言った。
「無いよ。もしかして君が言ってるのは、僕の元となった精子と卵子を結びつけた二人が付けた名前のことを言ってるのかな?」
「そうだよ、君の両親が君に付けた名前だよ」
精子がうんたらかんたら、よくわからない奴だ、なんで両親とか親より、その言葉が出たのか意味がわからなかった。
「馬鹿いっちゃいけないぜ、そんなロマンスのかけらもない名前はナンセンスだ。長年かけて形成された僕のこの性格や、これまで歩んで来た人生を知りもしないくせに付けた名前は偽物だよ」
「よくわからないけど、そもそも君が考える名前ってなんなんだい?」
「今の俺を表す、総体的な言葉さ」と彼は答え。
「それなら簡単じゃないか」と僕は言った。
「…なんて名前だい?」と彼は聞き、僕はそれに答える。
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