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「なぁフィア……」
紙をめくる音だけが聞こえる部屋の中で、俺……クラッド・クロムウェルは椅子に座っている人物に話しかけた。
「何?」
そう返事を返してきた人物……フィア・セントリットは忙しそうに書類に目を通してサインをしている。
なんてったって彼女はここ、“沈まぬ太陽”というギルドのギルドマスターだからだ。
そして俺はそこに所属し、数少ないXランク者“漆黒の戦神”として活躍してるってわけだ。
っと、話を戻そうか。
「この依頼が終わったらさ、魔法学園に行っていいか?」
その言葉に、今まで動いていたフィアの手が止まる。
「どうして?アンタが学園に行っても学ぶことなんてないでしょ?」
フィアはその銀色の瞳で俺を見つめる。
普段はダメダメのくせに、こういう時は威厳がある。
「俺は15歳だ。普通は学園に通う歳だろ?」
「そうね。でもアンタは普通じゃない」
俺の意見は一瞬で切り捨てられた。
「くっ……俺だって友達がほしいんだよ。この5年、ずっとギルドの仕事をしてきた。戻ってくれば新しい仕事が入るし、友達をつくる時間もない……」
全て真実なだけに、フィアの表情がわずかに揺れる。
それを見逃さなかった俺は、ここぞとばかりに止めの言葉を口にした。
「お前に頼まれたことも、なんだかんだで最後はちゃんとやっただろ。
少しは俺のわがままも聞いてくれ!」
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