それぞれの出発

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「それじゃあ行ってきます。お父さん、お母さん」 私はそう言って後ろを振り返った。 そこにはわざわざ玄関まで見送りにきている両親が、あたたかい笑顔を浮かべて立っている。 「エレナ、しっかり勉強してくるんだぞ」 「体調に気を付けるのよ」 そうなんです。 私……エレナ・アークライトは今日から魔法学園へ通うことになりました。 「彼氏ができたら教えてね」 「何っ?そんな男、ぶっ飛ばしてやる」 「ハハハ……」 私は引きつった顔で両親を見る。 見ての通り、私のお父さんは過保護です。 心配してくれるのは嬉しいんだけど……私だっていつまでも子供じゃないんだから。 「じゃあ改めて、行ってきます」 「お父さんは私に任せて、あなたは頑張ってきなさい!」 「うんっ!」 私はそう返事をすると、勢いよく家を飛び出した。 後ろでお父さんが何か叫んでるけど気にしないでおこう。 学園かぁ……ちゃんとやっていけるかな…… 不安と好奇心を胸に、私は学園に向かって歩き出した。  
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