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俺は玄関で幼なじみを……セリスを待っていた。
そんな時、後ろからやってきた親父に声をかけられる。
「気を付けるんだぞ、リオン。ハーネット家に恥じねぇようにな」
「わかってる。そっちこそ、俺がいない間に事件でも起こさないように気を付けとけよ」
「フッ……相変わらず偉そうな態度だな。ガキに言われるまでもねぇ」
そう言ってお互い口元を緩める。
まるで友人と話すように接するのが俺達の話し方だ。
すると俺達の声が聞こえたのか、母さんまでやってきた。
子供じゃあるまいし、見送りなどいらないのに……。
「もう行くの?」
「あぁ。そろそろセリスも来る頃だしな」
そう言って扉を開けると、一瞬光で目が眩んだ。
だがそれと同時に見えたのは、一生懸命こちらに走ってきているセリスの姿。
「さすがだな。ピッタシじゃねぇか。結婚式はいつだ?」
「冗談はよせ、クソ親父」
「何ぃっ!お前、親にむかってクソって――」
それを遮るかのように勢いよく扉を閉め、俺はセリスの方に歩き出した。
止まって待っていればいいものを、わざわざこちらに走ってくるなんて……。
余程慌てているのだろう。
「お、おはよ……ハァ……ハァ……リオン」
「おはよう。少し休むか?」
「大丈夫よ」
そう言って火照った顔で微笑むセリス。
顔が赤いということはかなり走ってきたのだろうか?
俺達は遅刻しない程度にゆっくりと歩を進めた。
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