し ず く 。

七回目、最後の留守電

話が変わるけど、戒くんの携帯はいつもマナーモードだ。だから電話に出ることは珍しい。しかも、自分もマナーモードだから電話にはほとんど出れない。そんな俺たちにいつもルキやれいたは怒る。葵さんは携帯の電源切ったりとかしているから、俺達を怒ったりは出来ないだろう。

だから俺は、戒くんと電話したことが数える程度しかない。留守電が入っていることの方が明らかに多いのだ。明らかに、とは言ったものの用事が無いから留守電と言ってもほんの４回程度の回数だが。戒くんの声を電話で聴くより、留守電に入っていることが多いことに少し苦笑が浮かんだ。

こんなことを思い出した途端に、携帯を眺めれば留守電が入っていた。戒くんだろうと予想がつくから嬉しい。きっと用件は仕事内容だけれど、それでも嬉しい。だって、戒くんの声が聴けるのだから

『あ、麗、明日の昼からだったミーティング朝からになったから遅刻しないでねー』

ほら。これだけで心が綻ぶ。そんな自分に少し笑えてくるよ。