午後の話

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ナランチャ・ギルガ 墓石に刻まれた名前は…全く知らない誰かの名前に思えた。 彼が死んだと聞いたのは、ひどく喉の渇くとても暑い日だった。 「裏切り者」としてボートを追った彼を見送ったのは、途方もなく遠い昔なような気もする。 だけど、お互い殴り合いの喧嘩をして、その度に仲直りを繰り返していたのは、つい昨日のことのような気がする。 なあ、ナランチャ 僕は呼びかける。 ひとことくらい、 挨拶があったっていいんじゃないか? …なんて、やっぱり僕のわがままだろうか。 どうせ、君の墓石の前で十字をきる僕を、どこかから見ていて笑っているのだろう。 バッカだなあフーゴ!!そんなのに騙されてやんの!! そう言って、みんなを引き連れて、そこの木の陰からでも僕を笑いにくるんだろう。ミスタと一緒になって、僕を指差してバカにするんだろう。
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