午後の話

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僕は膝をおり、墓石の前に跪いた。泥のついた名前の溝を、指でなぞる。 なあ、ナランチャ 僕は膝をついたまま、空を見上げる。 君の言う希望は、その先にはあったのか? 教会の鐘が鳴る。 近くのカフェテラスでは午後の仕事に戻る人達が、慌てて新聞をたたむ。 リーンゴーン… 鐘の音が頭の中で、重たく響く。 僕は安っぽい色のサイダーの入ったビンの蓋を開ける。小気味よい音をたてて、炭酸の香りが鼻先をかすめた。 なあ、ナランチャ 僕は喉を鳴らして、甘ったるい炭酸水を喉に流し込んだ。 僕は何も自分があの時、間違った決断をしたとは今も思っちゃいないんだ。 思ったよりも炭酸がキツくて、じわりと視界が滲んだ。 だけどね、 君が何にしたっていつのまにか僕を置いてさっさっと先に行ってしまうものだから、 ほんの少しだけ 気に入らなかったんだよ
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