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「………」
割と乱雑に入れられた牛乳やジャムの瓶の陰に、隠すようにラップのかかった皿が入っていた。
取り出して見れば、それはやたらと量の多いオムライス(…だと思う)で、多すぎるケチャップライスに広げられた薄焼き卵はあちこち破けていて、ラップは皿の端までかかっていなくて、はみ出したケチャップライスが固くなっていた。
おまけに卵の上にかけられた大量のケチャップは、ラップにぺたりと張りついていた。
「…初流乃、これ」
くるりと振り返ると、初流乃はうっとうしそうに目を薄く開いた。
「あのね、」
言いかけて口をつぐむ。
数秒後、不機嫌っぽくタオルケット越しにぼそりとつぶやいた。
「ケチャップ、かけすぎた」
僕はタオルケットの上からわしわしと初流乃の頭を撫でた。そこでやっと電気もつけていないのに気づいて、パチンとスイッチを入れた。
初流乃のお腹が鳴って、僕はまた笑った。初流乃はあくびをひとつした。
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