オムライス

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コップに水を注いで、スプーンを並べて。 ちょっと見てくれの悪いオムライスを電子レンジでチンして。 いつも向かい合って座るテーブルに、 並んで座る。 僕は右。初流乃は左。 「イタダキマス」 「…いただきます、」 温かな料理(…主にケチャップ)の匂い。 時計の音。 ふたりでつつく皿。 …初流乃、これ真ん中の方ケチャップライスじゃないよ、白米だよ …じゃあケチャップかけなよ そういう問題じゃ…ああ、ほら!!いつつけたんだよ、ケチャップの染みはついたら落ちにくいんだから…さっさと脱いで やだよ寒いから ダメ、今つけとかないと落ちなくなるから ……(めんどくさい…) ほら、初流乃!! ……姑(ボソ …聞こえてるよ?いいから早…むぐっ あー…はいはい、後でね 無理やり人の口にオムライス(というよりほとんどケチャップ)を詰め込んで、初流乃は笑った。 時計の音。 犬の遠吠え。 隣。 皿を洗う音、 「いつも、」 ふいに背中にかけられた、お疲れさま、という言葉は聞き間違いなんかじゃなかったと思う。 膝をたたんでお決まりのポーズで目を閉じた初流乃の肩が、くつくつと笑いをこらえているのが見えたから。 僕はそれに気づかない振りをして、やっぱりくつくつと笑いをこらえていた。 -fin
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