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今まで空間転移が失敗したことなんてなかった。
いくら適当にやっているように見えても実はちゃんとやっていた。失敗は即、命に関わるからだ。だからこそ今回は本当に予想外の事態だったのだ。
それを引き起こした物体は──。
「うっわぁ…当たんなくてよかったねぇ」
「隕…石…ですか?」
「違うみたい。わりと強い霊力を感じるよ」
霊力?
零也は首を傾げた。
明らかに物理的なダメージを与えた今のが生き物とは思えない。となると霊的な物質だとは思うのだけど、そんな物が何故落ちてきたのだろう。
「って!普通に神降ろししちゃったよ!だ、大丈夫!?」
「大丈…いたぃ…」
「あぁあ!今解くからね!?私の力で零也くんを苦しめるなんて…」
「散葉さんは悪くないです!あぁしなきゃ僕の命が危なかったんですから」
零也は未だ謎の力の後遺症に悩まされていた。零也もよくわからないけれど、この前の雪山での使った力が原因らしい。
後遺症というのは神降ろしの際に入り込む散葉の力と謎の力が反発して零也に苦痛を与えるというものだ。
「でもぉ…」
「大丈夫ですって。僕の大好きな人をあんまり酷く言わないでくれると嬉しいんですが…?」
さっきの仕返しに零也は笑った。
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