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☆
屋上の処理は咲夜が引き受けてくれた。
校舎自体が特殊な物理結界だというのだ。いくら七宝や七瀬の退魔師でもそこまで特別なものは規格外だったらしい。
と、いうわけで散葉と零也は保健室へ向かっていた。
「散葉さん、夕飯どうしましょうかね?バーベキューが途中で終わっちゃったから僕、何も食べてないんです。散葉さんもですよね?」
「うん、まだ一口も食べてないよ。部屋に戻ったら私がなにか作ってあげるね?」
「ふふふっ、ありがとうございます」
そんな会話をかわしていると、二人はいつの間にか保健室の前にいた。ドアにかかっている「在室中」の札を確認してから零也はドアを開いた。
「おや、零くんに散ちゃん。どうしたんえ?」
「あのね?これが屋上に落ちてきたんだけど…おばあちゃんはこれがなにか知ってる?」
「屋上に…?あぁ、さっきのはそういうことやったやね。そしてこれが…落ちてきたものかえ?」
薬婆は老眼鏡をつけて糸のような目をちょっぴりあけて卵に触れた。
三回ほど撫でて、薬婆は手を止めた。そしていつもなにかが入っている懐から人型の紙を取り出した。
「命ちゃんを呼んできぃ」
薬婆が紙に語りかけると、紙は宙に浮いて、意志を持っているかのように飛んだ。
「二人とも、もしかしたら大変な事になるかもしれんえ…?」
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