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「えへへっ!私、零也くんはみんなに好かれたそうだから納得してくれるか不安だったんだよ。けど…けど!うふふふ!そっかそっかぁ…」
本当に幸せそうに散葉は笑った。そしてたまたま気分だったのか本来の緋色の髪を手繰り寄せて器用に編み出した。
「散葉さん?」
「うふ、たまには気分転換してみようかなって。ちょっと卵を見ててくれるかな?」
「あ、はい。えっと…」
ちらりと視線をやると卵はタオルの上にしっかり置かれていた。
その卵を見ていて、零也はふと思うことがあった。
「あの、散葉さん?僕にもできませんか?」
「へ?零也くんがやってくれるの?えっと、ここを持って上に重ねてね?次は下にあるこれを…」
「や、違うんです。散葉さんの三つ編みの話しじゃなくて、卵に霊力をあげるののことです」
「…なぁんだ…そっちか…」
散葉はあからさまに残念そうにため息をついた。あぅ。
「や、やっぱり先に散葉さんの髪の毛をやりたいです!」
「え!?本当!?今、櫛を持ってくるから待っててね!」
空間転移を使えばいいのに、本当に可愛い人だなぁ。
走ってゆく散葉の後ろ姿を見ながら零也は微笑んだ。
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