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「持ってきたよ!お願い、零也くん!」
「はい、えっと…クシをかければいいんですよね?」
「うん!」
いや、うんて。
「あの…散葉さん?後ろを向いてもらっていいですか?」
「え?あ、そうだよね。このままじゃ無理だね。これでいいかな?」
散葉は文句をいうわけもなく、素直に従ってくれた。
こうして見ると散葉の髪はやっぱり綺麗だ。
いや、散葉が綺麗なのは別に髪に限ったことではないのだけど。長いまつげもぉ少しつり目気味なぱっちりした大きな瞳もぉ…お…大きな胸もぉ…えへ、えへへ…。
おっと、そうではなくて。
「こ、こうですか?」
「うん、そうそう。…えへへ~幸せだなぁ…」
「…散葉さんの髪の毛、とっても綺麗ですよ?」
と、突然に散葉は黙ってしまった。
「あの、散葉さん?なにか不快でしたか?」
「ち、違うよ!嬉しい!すっごく嬉しいの!だから…私のお願い、聞くだけでいいから引かないで聞いてくれる…?」
なんだろう。
散葉はいつもしたいことは強引にしてしまうのに。
「あ、あのね?こう…私の方を向いて後ろから髪を手繰って…髪に…キスして…欲しいな…って…」
後ろからでもわかるくらいに照れながら散葉は消え入りそうな声で言った。
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