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「ひ…やぁ…あ…あぁ…!!」
背中をのけぞらせて散葉は叫ぶように口から息をもらした。
そしてぶるぶる震えると、かくんと脱力し、そのままこてんと倒れてしまった。
「……散葉さん!?わぁ、大丈夫ですか!?」
零也は慌てて抱き起こして散葉を揺すった。ぼんやりと薄く開いた目にはこう、なんだかよくわからないけど危なそうな色が浮かんでいる。
…抱き起こしたの失敗だった…離れられないや…。
「ん…あ…だ、大丈夫だよ?予想以上にこう…ぞくぞくっと…」
「もう…心配するからやめてくださいよ。ふふっ、あんなことしたの初めてですよ?散葉さんといると退屈しません」
抱き抱えたまま零也がくすくすと笑うと、つられて散葉も笑い出す。
いつもの日常。
それだけなのに、零也は幸せだった。
「あ、じゃあやっちゃおうか?零也くんは私の髪を編んでくれる?その間に込められるだけの霊力を込めるよ。終わったら零也くんに霊力の扱い方を教えてあげる」
花が咲くように笑って、散葉は卵を手に取った。
今日は咲夜と命が屋上の修理に回っているため、完全な二人きりなのだ。
散葉は嬉しくてしかたなかった。
「はい。じゃあ編みますよ?」
先ほど説明を受けたとおり零也は散葉自慢の長髪を三つにわけて編み出した。
「あ、零也くんごはんはなにがいい?」
「ふぇ?」
「すぐ食べたかったら素うどんなんだけど、時間さえあればなんでも作るよ?」
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