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「ふ~んだ!いいもんいいもん!霊力の扱い方は手取り足取り教えるんだもん!」
散葉は言葉と同時に手から放つ光を強くした。途端に零也は少し焦った。
「あ、や、違うんです!ちょっとからかおうとしただけで本当は衝動的にやっちゃったんです…。ここにもたれ掛かったらすごく気持ちいいだろうなぁって」
「もう遅いよ!私、決めたもん!えへへぇ…なんにも知らない男の子にイケナイ授業…」
よくわからないことを呟くのは散葉のクセだ。怖いから零也は手早く──しかし手は抜かず丁寧に──髪を結い終えると、散葉の前に素早く移動した。
「この子ってどれくらいで孵るんですかね?」
卵である以上は内側の様子は探れない。そうなると外側の者は予想するしかない。
けれど、龍の卵を返すなんてよくあることではないし、基準がわからない。
それは 散葉も一緒だった。
「わかんないんだよね~…あんまり大量にやると割れちゃうかもしれないし」
と、散葉は突然に卵への霊力を止めた。
「さっき気になったんだけどなんで零也くんはいきなり霊力を込めたいなんて言いだしたの?」
「あ、それは…」
煮え切らない態度をとる零也の顔を散葉は覗き込んだ。
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